一般社団法人 日本機械学会 熱工学部門

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灼熱銅球の冷却

高校大学一般研究

Keywords

【核沸騰】
【膜沸騰】
【クエンチ点】
【焼入れ】

この動画では,熱した銅球を水で急冷する際に観察される沸騰の様相を紹介する.

直径30 mmの銅球(融点:1085℃)に穴を開け,熱電対を差し込み,ろう付け(融点:約750℃)によって固定した.熱電対の先端は銅球のほぼ中心に位置する.これをガスバーナーで約700℃まで加熱した後,水に浸漬して急冷した.最初は銅球全体が蒸気膜に覆われて,比較的ゆっくりと冷却される膜沸騰が観察された.銅球の温度が徐々に下がると蒸気膜は壊れ,銅球表面と水の接触が多くなる遷移沸騰領域に入り,最後に核沸騰を経て冷却が終わった.

膜沸騰領域では固液の接触がほとんどなく,銅球表面からの熱輸送は蒸気膜を介した熱伝導支配となる.そのため銅球の温度は比較的ゆっくりと下がる.その後,固液が接触する遷移沸騰領域に入ると冷却速度が急に速くなる.この冷却温度が急変する点をクエンチ点,そのときの温度をクエンチ点温度と呼ぶ.製鉄の圧延工程では所望の性質を持つ鋼材を製造するために到達温度や冷却速度の制御が欠かせないので,クエンチ点温度を正確に把握して制御することが重要になる.動画では,周囲の水温の違い(24℃,70℃)による冷却速度とクエンチ点温度の変化も示されている.


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投稿者情報

九州大学大学院工学研究院機械工学部門 藏田耕作
メール:kurata(a)mech.kyushu-u.ac.jp ※(a)を@に変えてください.

連名者:高松洋,境将貴

この動画は,熱工学コンファレンス2021のOS「熱コレ2021」で発表されました.

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